| 発売日 | 価格 | ハード | 発売 | ジャンル |
| 1996/11/1 | 6,090円 | プレイステーション | SCE | RPG |
アークザラッド(以降「アーク1」)が発売されてから1年半。
「ボリュームが足りない」という、納期に負けた制作陣が「完結編」として作り込み、ついに真の「光と音のRPG」が誕生しました。
筆者は本作を90年代最強のRPGであると断言します。
これこそがRPGとしての一つの完成形でしょう。
【評価点】
・勧善懲悪モノではない人間の"業"が詰め込まれた、極めて高レベルなシナリオ
・アーク1からさらにパワーアップを遂げた名曲の数々
・クリアまで100時間?!凄まじく濃密なボリューム
・戦闘システムは大幅に変更され、洗練されたものに。
【問題点】
・アイテム関連のシステムに多少難を抱える
・戦闘バランスに多少の粗がある
・退 魔 光 弾 フ リ ー ズ バ グ
まず本作において絶対に外せない要素が、クリアまで100時間かかるとも言われてる壮大なボリュームです。
とある雑誌のレビューでは「茶碗一杯で少なすぎると文句を言ったら炊飯機ごと出てきた」と評されたそうですが、
よくこれだけの壮大な物語を一つのゲームに詰め込めたな、と思える程の長く濃密なストーリーが展開されます。
しかしその流れが冗長と思えることはなく、一つ一つの小さなエピソードが全て繋がっており
「完結編」の名は伊達ではないことが伺えます。
最後の終わり方については人それぞれ感じるものが違うでしょうけど、筆者はありだと思いました。
拾ったアクセサリーを装備させることくらいしか強化要素のなかった戦闘システムですが、大幅にメスが入りました。
武器防具の要素が入ったのは勿論、林檎が最強兵器の一角だというのだから驚きます。
武器や防具自体に成長要素があり、基礎スペックの向上に加え新たな能力が付与されたりと、
新たな発見を見つける楽しさが付与されました。
いろんな武器防具を試した結果、最後にいきついたのが魔法の林檎だったのは筆者だけではないでしょう。
モンスターを仲間に出来るようになったのも、ボリューム増大に一役買っております。
特に中盤のとある場面では、仲間モンスターが必須と言ってもいい戦闘があります。
ここまででモンスターをろくに育てていなかった場合、「これからが本当の地獄だ……」と呟くことになるでしょう。
筆者のお気に入りモンスターはリッチですが、好きな武器の筆頭が大鎌なのはここから来てるのかもしれません。
勿論、どんなゲームにも欠点や問題点はあります。
まず問題点の筆頭として挙げられるのが「バグの多さ」。
仲間の1人であるイーガの特殊能力、退魔光弾を使うとゲームがフリーズするというバグはかなり有名です。
その他、マザークレアの館で発生するバグの数々など結構な数のバグが存在します。
ボリュームの多さに加え、システムがかなり複雑になっているのでそれの弊害なのかもしれません。
また、アイテムにも成長要素があると書きましたが、
その影響からなのか同一名称のアイテムをスタックすることができず、
装備してるもの以外で所持出来るアイテム(武器防具コミ)は全部で96枠しかないという難点を抱えております。
おかげで後半に入った頃には常にアイテム欄はパンパンです。
仕方が無いのですが、ここら辺はどうにかしてほしかったですね……
そして前作主人公であり、タイトルの名を冠するメインキャラクターのアークなのですが、
万能キャラだった前作から一転し、最大のアイデンティティがトータルヒーリングという
器用貧乏キャラにややナーフされてしまいました。
本作主人公のエルクがアタッカー寄りの性能なので、バランスを取る形になったのでしょうか。
もう少し勇者らしい実力を見せてほしかったというのが本音でしょうか。ケツ出しを強要してる場合じゃありません。
欠点もいくつかありますが、それらが全て長所でかき消されてしまう程に本作をやり込みました。
通しプレイを4~5回はやっており、総プレイ時間は400時間を下らないでしょう。
ギャグ王で連載されていた藤凪かおる氏の漫画は、今でも好きな本の一つです。
筆者の人生に多くの影響を与えた本作は、疑う余地なく最高評価でしょう。
まさにS評価をつけるに相応しいゲームだったと、プレイから20年以上経った今でも素直にそう言えます。
筆者評価:S