■ Data ■
発売日 価格 ハード 発売 ジャンル
1995/6/30 6,090円 プレイステーション SCE RPG

結論から言いましょう。本作は未完成作品です。
正確に言うと、納期の関係で本来作る予定だった部分の一部だけを収めた、でしょうか。
なんでもプレイステーション発売後半年で発売する予定だったのですが、開発の遅れもあって
完成している部分だけを抜き出した結果がこれなのだそうです。
ちなみに後半部分となっているアークⅡの発売は約一年半後です。開発遅延っていうレベルじゃねーぞ!
まあ納期の再設定が上手くいったのか、アークⅡの出来は凄く良いモノになったのですが
中途半端な形で出された本作は、お世辞にも出来がいいとは言えません。


【評価点】
・音楽のレベルが圧倒的に高い
・キャラクターや世界観の設定が良く作り込まれている
・RPGにシミュレーション要素を上手く融合した戦闘システムの礎

【問題点】
シナリオの中途半端感が半端ない
・戦闘バランスはよろしくない
・町がねえ!宿屋もねえ!ダンジョンは僅か一つだけ!
・武器がねえ!防具もねえ!工夫の余地が全然ねえ!!


まあ未完成作品だから仕方ないのですが、評価点以外は大体酷いですね。
大きなバグがないのは流石ですが、お値段に見合ったボリュームがあるとはとても言えません。
なんせこれでフルプライスですからね。


特に印象に残ったのはやはり音楽。
CDという大容量媒体を生かした音質は、当時のプレイヤーたちを圧倒したものです。
FCやSFCのピコピコ音も好きなのですが、最早それとは別ジャンルの音楽と言っていいでしょう。
ここら辺は流石音響機器を取り扱っていたメーカーなだけのことはあります。
筆者が本作を買ったのは1997年でしたが、サントラは何百時間再生したか覚えておりません。
本当に素晴らしいの一言に尽きます。

また、キャラクターボイスも売りの一つでしょう。
SFCでもボイス入りのゲームはありましたが大体は潰れたような声で、とりあえず入ってるだけという感じでした。
しかしこのアークザラッドは違います。
本職声優の方がずらりと並び、多少棒読みが気になるところはありますが既存のゲーム機とは
レベルが違うということを見せつけてくれます。

戦闘システムに関しては、この段階では「礎」という評価に留めます。
上でも書きましたが、バランスを調整してる時間がなかったのかバランスがハチャメチャなんですよね……

 ・マップが広いのに全体的に足が遅く、1回の戦闘に時間がかかる
 ・装備品はアクセサリーしかなく、そのアクセサリーの効果があまりにデカすぎて装備者と被装備者の格差がでかい
 ・一部特殊能力が異常に強い(ディバイド・ゲイルフラッシュ)
 ・ラスボスが2手で終わる

まあ未完成作品だから仕方ないんですけどね('A`)

シナリオに関しては俺達の冒険はこれからだENDなので、消化不良感が半端ないですね。
そりゃあ未完成作品において一番ダイレクトに被害に遭うのはシナリオですが……
なので、シナリオ面は続編のⅡとセットで合わせて初めて完成と言えます。
当然ながら、本作単体におけるシナリオ評価は微妙にならざるを得ません。
世界観はしっかり作り込んであるのですが、限られた納期の中では生かしきれなかったようです。


とまあ、ありとあらゆる要素が不足してはおりますが、
この評判を聞いてスタッフが発憤し、アークⅡのボリュームがとてつもない量になったとのことなので、
もし本作が先行で出てなければアークザラッドはここまで名の残るゲームにならなかったかもしれません。
戦闘システムなんてほぼ別物ですからね。
そういう意味では、「名作の基礎部分」として一定評価を出しても良いとは思ってます。
ただ、単体で見た場合は残念だったという点で下記評価になります。
だってⅠとⅡを合わせると12,000円ですし……


筆者評価: